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Resistance in Life !

「生き方としてのレジスタンス!」と言ったら大袈裟だけど、そうありたいな〜って、ちょっぴりまじめに考えている、30代半ばの、とあるオッサンの日記です。
http://www.teruyuki-tanaka.net/
4月のテーマ「戦略は細部に宿る」
<< 市場にて | main | 8th OPEN International Performance Art Festival >>
広い空
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     今日は午前中から、井上さんのアパートを訪ねることになっていた。親切にも昨日会った際に、「うちの近所にもいい市場がある。案内しましょう」と申し出てくれたのだ。
     私1人で向かう予定だったが、急遽、西島さんも行くことになった。昨日から体調を壊され現地の病院へ行きたいという。その通訳を井上さんにお願いしてみたいということだった。
     タクシーで向かう。古い高層アパートがたくさん立ち並ぶ一角。その中で、車をわざわざ目的のアパートの真ん前に着けてくれた。余りのドライバーの手際の良さに、昨日のことが嘘のようだ。住所メモを見ながら、エレベータで14階へ。電球が点滅する小さな廊下を抜けて、到着。ノックすると、井上さん、そして、古川万里さんが出迎えてくれた。

     万里ちゃんと会うのは、何年振りだろうか。全く変わっていない。小柄で可愛らしい様。最後に会ったのは6,7年前だと思うが、その時のままだ。最近は上海で生活しているというのは人づてに聞いてはいた。昨日井上さんから「今うちにいる」と聞いてから、今回全く想定してなかったこの再会を楽しみにしていた。
     井上さんがコーヒーを入れてくれ、暫く4人で思い出話や近況報告。万里ちゃんは数週間前、上海から北京に活動拠点を伸ばそうとやって来たそうだ。ベットやテーブルの置かれた部屋の様子から、井上さんの忙しくも充実した生活の一端が垣間見れた。14階の窓からは、かなり遠くまで見渡せる。特別いい風景でもなかったが、高層アパートの他に北京で一番有名な美術大学である中央美術学院も見えた。
     一段落したところで、井上さんに最寄の市場を案内してもらう。万里ちゃんも明日から始まるグループ展があり、その買い物で一緒に行く。私はやはり鮮魚を見て回った。圧倒的に昨日の市場よりも安い。しかもギャラリーからもそう遠くないので、パフォーマンス当日はここで買ってもいい。
     アパートに戻り、井上さん、万里ちゃんの親切で、西島さんの病院の件は決着。大事を考えて宿へ戻るという西島さんを見送った後で、残る3人は、近くのレストランで昼食。さらに話は盛り上がる。生活上の苦労話、北京のアート事情での立ち回り等を聞くにつけ、思わず2人の逞しさに感心させられる。懸命に生きる大変さの中に、充実した時間が溢れていた。

     その後それぞれ解散するつもりだったが、井上さんがもう1つ大きな市場を紹介してくれるという。彼女の用事が済むまで待てば、一緒に回ってくれるという願ってもないご好意だった。井上さんの用事が済むまで、私は近くの中央美術学院へ。大学内の本屋やキャンパス内を歩いて時間を潰す。本としてはデッサンに関してものが多く、アート本でも過激なものはなく、保守的なものが多かった。

     井上さんと再集合した後、ボックス席付きバイクタクシーに乗って一路、新たな市場へと急ぐ。閉店時間が近い。途中井上さんが電話し、清水恵美さんも合流することになった。彼女は北京在住歴5年で、同じフェスティバルにも参加する。今回最初にこの市場を薦めてくれたのも、彼女だったそうだ。
     何とか間に合った。ペットコーナーで亀の値切り交渉。その後、鮮魚の一角へ猛ダッシュ。大鯰が並ぶ様は壮観。そしてさらに奥の屋根付きの精肉のエリアへ。ここは各店舗が肉の見栄えをよく見せるために、それぞれ赤い電球を付けている。暗室が無数に並ぶような様は、まるでグリーナウェイの映画のワンシーンを思わせた。
     さらに奥でカニを見つける。井上さんが値切り交渉。大幅に値切ってくれ、本番当日ここで買うことを決めた。
     市場が閉まる頃、清水さんとも落ち合う。本日の私の買い物の値段相場や品揃え状況等を、井上さんが清水さんに、まるで自分のことように話してくれている。レンタルは出来ないか等とと、さらに前向きな意見も加わっており、私としては本当に嬉しい限り、感謝の一言だ。本番の作品の質を上げることで、このご好意にお返ししたいと思った。

     せっかくなので、3人で夕食をすることに。市場の隣を走る道路沿いに、たくさん店が並ぶ。その中で清水さんが行き付けで、イスラム系の人がやっている店に行く。店先の屋外テーブルに付き、ビールとバーベキュー。しかし、辛過ぎる。
     トイレに行く。今回初の昔ながらの中国式トイレだった。ドアもなく、皆んな1箇所で並んで用を済ます。目の前では流行の服装で格好のいい兄ちゃんたちが、ズボンを下ろししゃがんでいる。中には、大便をしながら携帯電話で話している人も。急速に近代的になりつつも、こんなところではまだ何の抵抗感もない。このギャップが実に面白い。テーブルに戻ると、万里ちゃんも駆けつけてくれるとの電話。小1時間後、全員がそろい、またも話に花が咲く。

     目の前の道路には、引っきりなしに車。通るたびホコリが舞い上がる。かと思えば、大きな角を持った牛が、大木の山をゆっくりと運んでいく。出されるコップや食器はまず汚れており、置かれたトイレットペーパーでいちいち拭かなくてはいけない。すでに暗くなった空はドンヨリ。
     しかし不思議ことに、不快感は一切ない。逆に行きかう人達、飲み食いしている連中からは、これ以上にない活気がみなぎっている。一見カオスのような状況ながらも、さっぱりと意欲的な気持ちでいられるのは何故だろうか。きっと皆んな、前を見て生きているからに違いない。

     ドンヨリとした空は無限に広く、行き止まりがなかった。ふと、子供の頃の夏休みを思い出した。まだ心配事がなかった頃。守ることよりも前に進むことが自然だった頃。今ここに、そんな空気が流れているのか。このメンバーと話すテンションがそんな風を呼ぶのか。
     いずれにしても、とても大切な開放感だった。ひょっとしたら、今私が一番求めているものかも知れない。

     自分の中のフロンティアに、向き合おうと思った。
     
     


     
    | - | 23:55 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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