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Resistance in Life !

「生き方としてのレジスタンス!」と言ったら大袈裟だけど、そうありたいな〜って、ちょっぴりまじめに考えている、30代半ばの、とあるオッサンの日記です。
http://www.teruyuki-tanaka.net/
4月のテーマ「戦略は細部に宿る」
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スリリングな午前
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     フェスティバル2日目。
     この日のトップバッターは私だった。昨日見ていて感心させられたのは、スタッフの手際の良さ。広いが仕切りのない会場で、一角に観客の目が釘付けになっている間に、別の一角ではさりげなく次の準備が終わっていた。
     このブログを書いている今、本日の最初に私の出番を持ってきたことは、セッティング上からも、そしてこの日のイントロダクションとしても適切だったと思っている。

    フェスティバル2日目の出演者(出演順)

    (1)田中照幸 (2)清水恵美 (3)Ye Fu(中国) (4)Aor Nopawan(Thailand) (5)He Yue(中国) (6)Inari Virmakoski(Finland) (7)Gao Xizi(中国) (8)Cheng Jianjun(中国) (9)Soni Kum(Korea)+Isabelle Mairiaux(Belgium) (10)Mai Zi(中国) (11)Gua Zi(中国) (12)井上玲(日本) (13)Vasan Sitthiket(Thailand) (14)Paisan Plienbangchang(Thailand) (15)Moe Satt(Myanmar)

    田中照幸
    Vasan Sitthiket
    Aor Nopawan
    Moe Satt


     さて、午前中の話。起床して落ち着いた後、市場へ出掛ける。先日井上さん、清水さんと訪れた市場だ。距離的には会場からそう遠くない。問題はタクシーがスムーズに行ってくれるかどうか。事前に運転手に見せる行き方を分かる人に書いてもらったほうがいい。結果としてその方が、早く目的を達せられる。
     そう思い、寝泊りを同じくする若い北京の参加作家に声を掛けてみた。初めて話す。名前は何玲(He Ling)、22歳。小柄ながらも、とっさの判断が効きそうな格好のいい男だった。なんと、一緒に行ってくれるという。彼の出番は明日なので、任せろというリアクションだった。
     798藝術区のゲートでタクシーに声をかけるが、案の定、場所が分からないと断られる。3台目に声をかけた時、何玲が携帯電話を私に渡してきた。出ると、清水さんだった。私のリクエストを把握するため、何玲が清水さんに通訳をお願いしたのだという。買い物の内容は彼に、市場までの道順は清水さんが、電話越しに直接運転手に伝えてくれた。
     やっと出発。しかし、少し進んだところで渋滞。車はほとんど動かない。先日タクシーで帰ってきた際は20分ほどだったが、1時間近く経ってもまだ着かない。何玲が苛立ちを見せる。だが私は驚くほど落ち着いている。こういう親切心で本日を切り出せたことが、既にパフォーマンスの成功を約束している。そう感じていたからだ。
     
     ようやく到着。広い市場の目的箇所とは反対で降りてしまった。ところがこれが幸い。別途に買うつもりだったバケツや手袋を手早くゲット出来た。
     鮮魚の場所へと急ぐ。大きな市場内では車やバイク、自転車が交通渋滞。そこをひょろひょろっとすり抜け進む。まるでここが自分の庭のように思えて嬉しい。奥にある大鯰の大群や赤い精肉エリアを抜けて、ようやくカニ売り場へ。あとは買うのみ。
     買おうとした。安値だからここに決めたのだが、恥ずかしながら私も天然ボケが入っている。いくらで交渉成立したのか、すっかり忘れてしまっていた。で、やむなく一からやり直し。しかし提示してくる値段は高かった。
     何玲が交渉してくれる。時間帯が早いだけに向こうも強気だ。もう1度清水さんに電話し、相場を聞く。それで計算し妥当な線で買うことにした。通常重さで買うが、今回は匹数で買う。数えてはカゴに入れる。それで値段は高ければ文句を言い、一旦カゴから全部出させる。再び数え直しながら、カゴに入れていき、値段を下げさせようとする。その都度、何玲の一言。どうやらサービスと言っている様子。おかげで何匹か増えた。
     
     買い物が全て終わり、帰路。ここからはどうやって早く帰るかだ。私の出番は一番目だし、帰ってからやるべきセッティングも多い。最寄りのゲートからタクシーに乗ろうとしたが、ここで何玲からの提案。最初にタクシーを降りた場所へ戻ろう、そこでいい考えがあるという。
     戻ると、彼は止まっていたマイクロバスの運転手に声を掛けた。言わば、白タクか。そしてあっという間に、変則的なルート指定と値段交渉をまとめてしまった。彼は助手席に座り、私は後ろに乗った。何人も乗れる広いスペースなのに、2シート分のボックス席が1つあるのみ。しかも横向きになっている。よく見ると固定されていない。
     そこにデンと座る。車が動き出し、最初のカーブを曲がった。座っているシートが根こそぎ、シューと床をすべる。位置が変わった。カーブのたび床をすべる。その都度正面の向きは変わり、違う目線で外を眺めた。今でもあるのかな?まるで遊園地のコーヒーカップ状態だった。
     途中、何玲のウチに寄ることに。大事な忘れ物があったというのだ。平地でまわりに何もない風景が続き、暫く走ると、集合住宅のようなエリアに辿り着いた。整備されたその中に入る。何玲が指さす建物の前で車は止まった。
     同じ作りの建物が隣接し合う。さながら大きめの社宅といった感じ。何玲のウチだというドアを開けてびっくり。高さは3階ほどもあるアトリエ、奥には台所、そしてロフトがあり居住空間となっていた。車7,8台は軽く止められる広さ。賃貸だという。この大きな区画自体が、主にアーティストにアトリエ兼住まいとして貸し出す目的で、新たに作られたものだそうだ。言わばアトリエ団地だ。そしてこの手のアトリエ不動産は、現在北京の至るところで建設されているそうだ。
     彼の製作兼生活環境を直に見れたことは嬉しかったが、もし反対に彼が日本での私の生活振りを見たらどう思うだろうか。ギャップを想像した。思わず苦笑するしかない。
     やっと会場に戻ってきた。車代は当然私が払うつもりだったが、彼はウチに寄ってもらったからと、ガンとして受け取らなかった。

     今度は会場でのセッティング。いろんなアーティストが手伝ってくれた。その中でも年齢的には私よりもかなり上のタイのアーティスト、ワサン・シティケットさんが手を借してくれたことが嬉しかった。
     今度は小道具。これも手間がかかる。セッティングから引き続き、Pojuという名の中国人スタッフが手伝ってくれた。金髪でパンク系のファッションの彼は、なんと18歳。今後アーティストとして活動したいという。昨日から実によく働き、そして全ての作品を真ん前でじっくりと見ていた。
     買って来たカニのハサミに筆を付ける。指を挟まれると、かなり痛い。こんな変な手伝いをPojuも楽しんでくれたようだった。

     何玲とPojuは、研ぎ澄まされた男だ。手伝ってもらった僅かな時間に、ふとそんなことを実感した。アートであろうがなかろうが、間違いなく人智的な面から成功するタイプの人間だ。
     考えてみれば市場の詮索から今準備が終わるまで、いくつかの研ぎ澄まされた力に出会ってきた。違う土壌にいるから一層そう感じるのか、端にダメな自分だから他が光って見えるだけなのか、それは分からない。
     だがはっきり言えるのは、この過程で遭遇した経験は、贅沢の極みであったということだ。この時の高揚感は、今後あらゆるモチベーションへと繋がる。精神的に大きなストックを頂いたのだ。
     その結果としての作品は、彼らへの恩返しでもある。

     いよいよ出番_。
     パフォーマンスは、客の入りを見ながら、5分押しで始まった。

     

     
     
    | - | 23:30 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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