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Resistance in Life !

「生き方としてのレジスタンス!」と言ったら大袈裟だけど、そうありたいな〜って、ちょっぴりまじめに考えている、30代半ばの、とあるオッサンの日記です。
http://www.teruyuki-tanaka.net/
4月のテーマ「戦略は細部に宿る」
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北京最後の夜
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     いよいよ明日の早朝、北京を発つ。実質的には今日がここで過ごせる最終日。 
     起床後はのんびり。今回観光はほとんど考えてなかったが、万里の長城には行ってみたかった。しかし、滞在しているチェン・ジンのこのスペースからは、どうやらかなり遠いらしい。もし行くのなら、すぐに出発しなくてはいけない。それでも帰りは夜遅くなるだろう。そう迷っている時に、夕方、京劇を鑑賞出来ることになった。昨晩、私は出来れば本場で京劇も見てみたいと、ボランティアの女の子に相談していたのだ。ならば折角のことだし、万里の長城は次の機会して、こちらを選ぶことにした。
     さて、何人で行くのか。聞いてみると、昨日のマッサージのように行きたいというメンツが結構集まった。どう動くのか段取りがまとまらない。何だかんだしているうちにお昼になった。滞在メンバー全員で近くに昼食に。ビールを飲んでワイワイやっていると14時を回ってしまった。その後の出発。そうなると各人諸々の事情があり、結局のところ実際に行けることになったのは、アーティストでは3人、ボランティアの女の子2人、計5人になった。
     
     今からでも見れる会場は2つ。そこでフィンランドのアーティスト、イナリと、タイのアーティスト、アオとで意見が割れた。1つは現地に根ざした劇場。演目の上演時間も長く、セルフサービスでお茶も飲める。しかも安い。2つ目は観光化されたツーリスト向けの劇場で、楽しめる演目を中心に見せる。上演時間は短いのに、料金は高い。
     私としては現地思考で、1つ目を選びたかった。京劇自体は見たことはあるので、北京ではどうなのか、そこに興味があった。しかしタイのアーティスト達が本日宿を変える日だった。1つ目だとホテルに帰るアクセスがかなり大変になるという。それにアオは以前京劇を見た際の経験から、余り長いと退屈すると言い出した。好奇心一杯のイナリは当然ローカル劇場を望んでいる。どうにもならない板ばさみの中で、私が最終決定することになった。
     さて困った。この状況で決めろと言われても。手持ちの日本語のガイドブックを見る。両方とも載っていた。そこには1つ目のローカル劇場では、音楽演奏のみと書かれていた。「覇王別記」のようなドラマではない。私としては、総合的な舞台が見たい。だったら高くても仕方ない。2つ目に行こうと主張した。
     その瞬間、イナリがプッと口で音をたて、残念がった。お互い興味が似ているところもあったので、私は当然イナリに賛同すると思っていたのだろう。そこは演奏だけだからと伝えてみたが、分かった分からないのか、もういいよという感じになってしまった。

     バスで北京中心部の王府井へ。東京のような雰囲気のショッピング街。デパートなどが立ち並ぶ。路地に入ってみた。観光客用の店で埋め尽くされており、まるで原宿の竹下通りみたいだ。さそりやコオロギの串焼きを売る店がたくさん。私もさそりの串焼きを食べてみる。おいしい。ビールのつまみにモッテコイ。
     お土産物を買って回る。そこで本日案内してくれているビッキーが、そうだと言って声を上げた。英語が得意な彼女は、今回通訳を中心にスタッフとして大活躍。そして何よりも明るく活発でお茶目。性格も見た目も誰からも愛される本当に可愛い子だ。その彼女から名案。この路地の一角で京劇が無料で見れることを思い出した。食堂の屋外席に陣取って見ましょうと言う。即、皆んな賛成。劇場に行くことを止め、早速場所取りに。
     その食堂で頼んだラーメンが最高にマズかった。もったいないと言って全部食べた私以外は皆んな一口付けただけ。やがて京劇が始まった。店の2階でステージ化されたバルコニーに役者が現れる。といってもメイクが本格的ではない。あの独等の隈取りではなく、にわか化粧に付け髭。演技ではなく、マイクの前で唄うだけだった。それも音響が悪く、高音がとても耳障りだ。
     折角席を取ったので、やむなく3人目の唄まで席に付いていた。しかしこの騒音めいた響きに、もう耐えられなくなってきた。私が行こうかと言うと、もっと早く言えよと言わんばかりに全員すっと立ち上がった。
     京劇鑑賞といいつつも、その点では失敗だった。しかし人ごみの中で、このバッタものの出し物を見ていたスチュエーションが楽しかった。インチキ臭い雰囲気を満喫し、音響の悪さの中でも会話は弾んだ。皆んな笑顔だった。

     その後歩いて、天安門広場へ。これも私のリクエストだった。先日すぐに故宮博物院に入ってしまったため、天安門広場の地を踏んでいなかった。ここまで来たのだ。かつての悲劇の場を直視すべきと思っていた。
     着いてみると、全く重々しい雰囲気は感じられない。電飾化された天安門や広場周辺。その中には北京オリンピック開催を祝うデコレーションの数々。全体がライトアップされ、人で溢れかえっている。空にはたくさんの中国式の連凧。連凧売りがやってきた。欲しかったので、値切りもそこそこに買ってしまった。
     こうして皆んなと写真を取り合いながら、綺麗なライトアップの中を歩いているだけで楽しい。ここがあの天安門事件の現場だということは、にわかに信じ難い。そのギャップを思うと複雑な気持ちになる。今でこそ血痕は見当たらないだろうが、確かに同じ地面を踏みしめている。

     ビッキーたちがこっちこっちと笑顔で先導してくれる。彼女のようにあらゆることを前向きに吸収し、これからを作っていける若い逸材との出会い。また経験値を高め、それを作品に反映させ、自らの質を問うことを忘れないアーティストとの出会い。そして、私が出掛けていくことで体感する新たな場所。
     この三位一体を源泉に、私は、どうプラスの連鎖を紡ぎ、どう次のビジョンを打ち出していけるのか_。

     北京最後の夜。天安門広場を1歩1歩ゆっくり歩きながら、改めてそんなことを考えていた。

     

     
    | - | 23:15 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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